探偵の見解。浮気と親権、監護権
こんにちは、今回は夫婦間の浮気。法律用語でいいますと『不貞行為』と親権の関係を法律のプロではない、一介の探偵がこの何十年間、夫側の親権を扱ってきた観点から説明致します。
断っておきますが、これは探偵が話すと言いますか。あくまでも現在日本の司法制度についての感想を綴っているだけだということですので、これが全てでは無いことを予めお伝えしておきます。
法律というものは、原則としてはシッカリと定義が有ります。しかし、各々の立場や主張で見解が分かれることが多分に有ります。例えば、刑事事件では検察と弁護側の見解はほぼ違いますし、民事訴訟は弁護士VS弁護士ですので違うに決まってますよね。(同じなら争う必要がそもそも無い)
この様に例え、法律と言えども『見解』つまり角度を変えれば、異なる意味になるということですね。これは、一般人の持つ正義の違いと変わりはなく。物事の捉え方の問題なんです。だから、飛び込みで相談した弁護士さんの意見。原理原則は同じであっても、それぞれの得意分野でも違いはありますが、一概に「弁護士が言っていたから間違いは無い」と鵜呑みにされるのは少々危険です。
病院のセカンドオピニオンと同じで、何人かの法律家のご意見を聞くのが賢明かと考えます。
そして、この親権・監護権については概ねどこの弁護士さんでも根本的な見解は似通っておりますが、一番の問題はそれぞれ弁護士の、手法は違います。それは・・。
せっかく、高額な費用を使い探偵が収集した証拠の使い方を間違う?と言えば弁護士さんに失礼になりますが、証拠を出す場面を見誤る弁護士さんが多いです。例えば、調停で全ての証拠を出し切り。イザ裁判に移行した時に手持ちのカードが無い。いかんせん依頼者さんは探偵のいうことよりも弁護士さんのいうことを信じてしまうのです。
ある意味、それは当然のことでしょう。一介の探偵と日本でも3指に入る難関の司法試験を突破し、それを生業にしている法律家の弁護士さんであれば、どちらのいう事を信じるか?当然ながら後者であるのは仕方有りません。まだまだ、探偵という職業人に対する市民権はこの日本にあっては、昔ほどでは無いにしろ、相当低いことはもどかしくありますが、どうしようも無い現実であります。
さて、こういったこじれた夫婦間の離婚問題では、裁判の前に必ず『離婚調停』を経てからでしか裁判は出来ない仕組みになっています。調停はあくまでもこう言った問題の専門家が、調停員となってお互いの話しを聞き調停員が意見書を裁判所に出すだけです。
当然、そこで双方が納得すれば、話しは穏便に終わるところでは有りますが、主張が噛み合わなければ、『不調』(調停では話しがつかない)となり、親権争いは特に不調に終わることが多いです。そして調停の調査官が、双方の家庭に出向き、聴き取りや、現状を調査し、その意見書を裁判所に提出はします。あくまでも調停で、話がつかなかった訳ですから、裁判所としては一から双方の意見を聞いて最終的に裁判官が結果を出します。そして、裁判所はこの意見書を考慮はしますが、あとは裁判官の裁量によって判決が確定するのです。
争いは何も、親権・監護権をいずれかに決めるだけでは無しに、親権を逃した一方に対して『面会交流』(親権を取れなかった方が子に会う頻度や通信)の回数や条件なども決められます。
ここまでは、ザックリとした親権争いについての大まかな流れですが、ここからはその実態を記して行きますね。
ここで、厄介なのは弁護士さんにも有能な方もいらっしゃれば、そうでない方も大勢いらっしゃることも事実ですので、(私の経験上シッカリした弁護士さんって10人に2人程度だと思ってます)
その弁護士選定が難しいんです。基本的に夫側が調停や裁判で親権を勝ち取るのは90%以上不可能と言われてますので、我々が実際に親権獲得に成功した方法を主張したとしても、それで勝てなかった場合、責任取れないですから、あまりキツクも言えないんです。
ですので、出来得る限り弊所と関わりの深い弁護士に依頼し、(実際我々探偵が頑張って親権を獲得した時の弁護士)依頼者さん、探偵、弁護士と三者で協議しながら進めて行くことで、責任の所在を明確に分け合うことに合意し全力で作戦を練ってそれぞれが、その役割を遂行しそれでもダメだった場合、少なくとも誰を責めることもなく依頼者さんも諦めがついて、面会交流の回数増にシフトすれば三者のストレスだけでも軽減は出来ます・・。
実は弊所。この案件、今まで絶対にムリといわれてきた父親側への親権を2度、獲得した実績があります。そうは言っても男性側が親権・監護権を裁判で取るのはあの手この手を使っても非常に難しいことには変わりません。90%以上ムリと言われていますが、私の感覚からいうと98%は難しいと考えております。
と、いうのは。妻が浮気をしている証拠を撮った依頼者さんが「こんな不埒(ふらち)な妻に親権など取られるはずが無い!」と、考える方は大勢いらっしゃいます。しかし、司法の考え方は親権というものは妻の浮気とはまた別物であり、親権争いの基本的定義は、夫側VS妻側。のいずれが子を育てればその子は幸せであるか?という建前からスタートはするものの、現実は先にも言った様に親権・監護権は『母親ありき』が、暗黙の基準になっています。
私達が普通に倫理的に考えたとしても、「家を放ったらかしにして、子をどこかに預け男遊びにうつつを抜かしている妻が子の親権を取るのはおかしいじゃないか!?」とは思います。倫理的に考えてればそうですよね。しかし、日本の司法ではそれは関係ないのです。
まだまだ、それだけじゃ有りません。父親側の両親、親族が近隣に住み、父親が仕事に行っている間も孫である子供をシッカリと見てくれる環境があったとしても、それでもまだまだ難しんです。
もっと云うと親権を主張する、浮気をした妻側には両親が居なく、所得も少ない。あきらかに子育てが夫側よりも劣るとなっても、それで少しくらいは天秤が動いたにせよ、まだまだ・・。
「そんな浮気するような嫁はんが子供をシッカリと教育して育てていけるとは思いませんけどね」っていう声が聞こえてきそうですが・・。
それが理屈だとは思いますが、現実問題としては、『男は仕事に専念する』が大前提としてあり。疲れて帰って来た男親が子にシッカリとした愛情を持って接しられるのか?それが裁判所の考え方なのでしょう。
つまり、不倫をする妻であっても『母性本能』は父親よりも遥かに強い。だって『本能』として考えられるからだとしか思えない。これは私が何か文献で調べたものでは無く、単なる想像ですので悪しからず。
つまり、夫が親権を取る方法としては。
① 妻が親権を放棄した。
② 妻に多額のお金を渡して納得させる。
ここまでは、普通に有りそうな感じですね。
深堀りした具体例としては、
① 妻が浮気をしている間、いつも子をご飯も食べさせずに放置している実態を掴む。(妻の浮気だけではなくとも不実な行動によって常態化している場合)
② 虐待の事実
③ アルコール依存の実態や反社会的勢力者との密接な交際の事実
④ 薬物依存の事実
⑤ 10歳以上の子の意志。(子の意志は尊重されるが、その上において裁判所が父親側が養育出来る環境にあるか否かも判断材料)
等々、まだまだ複雑なことは沢山ありますが、子の親権(特に10歳未満)を夫側が取ることは非常に難しいと言わざるを得ません。本当に子供を渡したくないのであれば、100%無駄では無いことに望みを託して、出来る範囲で頑張ってみることは大事なことであると思います。
⑥ 調停や裁判時に別居している場合。子供をどちらが養育しているか。これも多少なりとも影響が有ります。夫と妻との親権争い中に、ほとんど誘拐に近い形での『子供の連れ去り』はよくある話しです。あまり、褒められたことでは有りませんが、それほど子供を失いたくない親の愛情と表現すれば、美しくもあり醜くとも感じる行為ですが確かに効力は少しでもあるようです。弁護士に相談すると、「私の口から推奨するわけにはいきません」と言われるでしょう。
追記。弊社が裁判で,夫側の親権を獲得した事例。
最初は,依頼者さんに「相当難しいですよ」とシッカリと説明して,「それでもどうしてもやって欲しい」との要望にお応えして,「まずは一審判決が終わるまで」という条件で受任に至りました。それと並行して弊所の調査後,慰謝料請求や結婚詐欺などを担当して頂いていた弁護士とタッグを組み,調査スタート。
最初は,相手側(妻側)の生活行状を調査することから始めました。依頼者さんのいうにはこの相手側の家族親族はかなり質の悪い連中であること。具体的にいうと,法律を冒して商売をしているということを聞きその辺りを暴くことから始めました。
法律を冒して商売をしているというのは,今,芸能界などにはびこる薬物などの類では無く,詳細は控えますが「輸入」の関係です。
その相手側の親族と母親が経営している店に羅列されている商品が法律違反で輸入していることを突き止めることは出来ませんでしたが,陳列の商品を撮影した限り日本で売っていること自体がそれを物語って居ました。
しかし,そういったことは親権問題とはあまり関係の無いことですが,全ては地道な積み重ねが大事であるとの判断で,まずそこはクリア。
で,そこから妻側の行状を調べ。男の影や普段決して上品じゃない親族・友人達とどういった関わりがあるのかを,ひたすら相手側(妻)を尾行しましたが。決定的な証拠は掴めず,次は親子関係の親和性にアプローチすることに。
例えば,子供(3名うち長男は父方が引き取っていて長男も父親について行く意志は確か)その妻側が引き取っている,長女と次男の運動会などを調査。また,普段の母子の関係性なども同時に追って行く。
それもある程度までは有利な証拠は撮れたものの,まだまだ決定打にはならなかった。ここでは書き切れないほど色んなことを暴きはしたが,まだ納得の行く問題とまでは裁判所は判断しないであろう事象ばかり。
そして最後に。妻がアルコール依存症であることにラストチャンスをかけることを決断した。そして真夏の激暑の中。朝,妻が実家から(大人は妻と妻の母親だけ)ゴミ出しの時を狙いゴミを捨てるところを撮影したあと,その出されたゴミを収集車が取りに来る直前に,事務所まで持ってきて全てを事務所の中に広げてそれを撮影。
まあ,激暑であることも手伝って。事務所の中になんとも言えない激臭が漂う中,撮影する。それを3日続けて敢行した結果,80前の母親が飲んだものを差し引いても,一晩で飲む量としては尋常な数ではなかった。
そして,その道中には次男の連れ去りや憎しみあった夫婦のトンデモナイ揉め事も色々あったがいよいよ証拠調べが終わり結審した。
その2週間後。判決の日を迎えた。諦めムードの漂う中裁判官が。
「主文。子の親権・監護権は夫である〇〇〇〇〇〇」と定める」
勝った。その喜びはスタッフ全員が万歳三唱をし,涙さえ浮かべている者もいたほどであった。
その時,弁護士が一言。「今回の判決で一番驚いているのは僕です」と・・。
その後控訴審・上告と続いたが最後まで一審判決が覆ることはなかった。上告審まで引き続き依頼を受けたその日数は1年半。その当時いた調査員(現在は独立)が「今まで一番キツかった案件は・・これです」
それほど,キツいこの戦いは,途中で依頼者さんの為という大義はあったが,正直探偵の矜持をかけた戦いだった。
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